墓じまい

墓じまいの進め方|遺骨の行き先・手続き・依頼先を決める順番

墓じまいは、遺骨の行き先を決めてから、墓地の管理者の証明と市区町村の改葬許可を受けて進めます。法令と自治体の案内をもとに、相談する相手、申請に要る書類、工事の頼み方を順に整理しました。

この記事は公開情報に基づいて作成しています。

墓じまいは、今のお墓から遺骨を取り出し、墓石を片付けて墓地を返すことです。法律の言葉ではありません。遺骨を別のお墓や納骨堂へ移す部分は、法律では「改葬」と呼ばれ、市区町村長の許可が要ります。

進める順番は、遺骨の行き先を決める、親族と墓地の管理者に相談する、改葬の許可を受ける、墓石を撤去する、です。行き先が決まらないと許可の申請書が書けず、申請には原則として今の墓地の管理者の証明も要ります。

改葬の許可の件数は、平成26年度の約8万4千件から令和6年度の約17万6千件へ倍増したそうです(総務省東北管区行政評価局の資料。厚生労働省の資料では令和4年度が151,076件)。墓じまいを伴わない遺骨の移動も、この件数に入ります。

確認日:2026年10月14日。法令はe-Gov法令検索で、自治体の手続きは各市区のページで確かめました。

墓じまいで決めること

決めること 相談する相手 決まっていないと
遺骨をどこへ移すか 家族や親族、移す先の墓地や施設 許可の申請書に「改葬の場所」を書けない
誰の名前で申請するか 墓地の名義人(使用者)と親族 名義人以外が申請するときは、名義人の承諾書(またはそれに代わる裁判の書類)が要る
今のお墓をいつ閉じるか 墓地の管理者(寺、霊園、市区町村など) 申請書に付ける埋葬の事実の証明を頼めない
墓石の撤去を誰に頼むか 石材店、墓じまいの代行業者 費用を比べられない
費用を誰が出すか 家族や親族 見積もりを取っても決められない

申請書の記載事項と添付書類は、墓地、埋葬等に関する法律施行規則の第2条で決まっています。改葬の場所や申請者と名義人の関係も、申請書に書く項目です。

遺骨の行き先から決める

行き先には、別のお墓、永代供養墓や合葬墓、納骨堂、樹木葬、海や山への散骨、自宅に置く方法などがあります。どれを選ぶかで、要る手続きも費用も変わります。

法律の「改葬」は、遺骨を「他の墳墓又は納骨堂に移すこと」です(墓地、埋葬等に関する法律 第2条第3項)。国の資料では、自宅に置く場合と散骨する場合は、この改葬の許可は要らないと整理されています(総務省東北管区行政評価局「墓じまいに関する情報収集結果」)。ただし、今のお墓から遺骨を取り出すときの扱いは、墓地の管理者と市区町村に確かめてください。

散骨については、厚生労働省が事業者向けの「散骨に関するガイドライン」を公開しています。令和2年度の厚生労働科学特別研究の報告書をもとにしたもので、事業者に自治体の条例を守るよう求めています。散骨を考えるなら、散骨する場所の自治体の決まりも確かめましょう。

移す先の書類は、法令の添付書類には挙がっていませんが、求める自治体があります。今回確かめた自治体では、長野市が受入証明書(使用許可証などでも可)を、目黒区が新しい墓地の使用許可証の原本を求めていました。横浜市の必要書類には、移す先の書類は挙がっていませんでした。申請先の案内で確かめてから揃えてください。

先に相談する相手

まず、お墓の名義人を確かめます。名義人以外が申請するときは、名義人の改葬の承諾書を付けます。名義人と争いがあり、改葬を認める裁判を得ている場合は、その裁判の謄本などを承諾書の代わりにできます(施行規則 第2条第2項第2号)。名義人が亡くなっている場合や、親族の中で意見が分かれている場合は、申請の前に話をまとめておきましょう。

次に、今のお墓の管理者に、墓じまいをしたいことを伝えます。申請書には、原則として管理者が作る「埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面」を付けるためです(施行規則 第2条第2項第1号)。管理者が証明を出さない場合の扱いは、この節の最後に書きました。今回確かめた横浜市と堺市、目黒区では、申請書の欄に管理者の証明をもらう形でした(堺市と目黒区は別紙の証明も可)。

寺の墓地では、檀家をやめること(離檀)の話にもなります。国民生活センターは、墓じまいのときに高額な離檀料などを求められたという相談が寄せられていると注意を呼びかけています。離檀料に明確な基準はなく、納得できない場合は基本的に寺と話し合うことになる、としています。困ったときは消費者ホットライン(局番なし188)に相談できます。

管理者が証明を出さない場合について、昭和30年の厚生省(当時)の回答では、市町村がそれに代わる書面で取り扱ってよいとされています。2026年1月の厚生労働省の事務連絡では、その例として墳墓の写真や、証明書を出せない経緯を書いた申述書が挙げられています。何を出せばよいかは自治体の判断なので、申請先に相談してください。

改葬許可の手続き

許可を出すのは、遺骨が今ある市区町村です(墓地、埋葬等に関する法律 第5条)。移す先の市区町村でも、住んでいる市区町村でもありません。

  1. 移す先の墓地や施設を決める。申請先が受入証明書や使用許可証を求める場合は、それをもらう
  2. 遺骨が今ある市区町村の申請書を手に入れる
  3. 今のお墓の管理者に、埋葬の事実を証明してもらう(証明を出してもらえない場合は、申請先に代わりの書類を相談する)
  4. 申請書と書類を出し、改葬許可証を受け取る
  5. 許可証を受け取ってから、遺骨を取り出して移す

自宅の敷地や裏山などにある個人の墓地を、墓じまいのあと墓地として使わなくなる場合は、改葬とは別に墓地を廃止する許可も要ります(墓地、埋葬等に関する法律 第10条第2項)。長野市は、この場合に「墓地等廃止許可申請」も併せて必要だと案内しています。窓口は、墓地のある自治体に確かめてください。

申請の窓口や手数料、遺骨が何人分あるときに何枚書くかは、自治体ごとに違います。

自治体 申請先 手数料 郵送 遺骨が複数のとき
横浜市 お墓がある区の区役所戸籍課 無料 可 ページに記載なし
堺市 堺市立斎場 無料 不可 申請書1枚で5体まで
目黒区 区役所(区内に遺骨がある場合だけ) ページに記載なし ページに記載なし 1体につき1通
長野市 市民窓口課または各支所 無料 可(オンラインも可) 1人に1通。「焼骨等一覧」を付ければまとめられる

横浜市は、許可の手数料は無料でも、管理者が出す埋蔵証明には手数料がかかる場合があると案内しています。

墓石の撤去を誰に頼むか

墓石の撤去と区画を元に戻す工事は、石材店などに頼みます。工事を頼める業者に決まりがあるかどうかを、見積もりを取る前に墓地の管理者に確かめましょう。

寺への連絡、改葬の手続き、撤去工事などをまとめて引き受ける代行業者もあります。離檀の交渉まで含むかどうかなど、引き受ける範囲は業者によって違います。どこまで頼むのか、費用はいつ払うのかを、契約の前に書面で確かめてください。

費用の項目と見積もりの比べ方は墓じまいの費用にまとめました。

申請の前に手元に揃えるもの

  • お墓の使用許可証など、名義人が分かる書類
  • 今のお墓の管理者の連絡先
  • お墓に入っている人それぞれの氏名、本籍、住所、亡くなった日、埋葬や火葬の日(申請書に書く項目です)
  • 申請先が求める場合は、移す先の受入証明書や使用許可証

お墓に入っている人の情報は、墓誌(墓石の横の名前を刻んだ石)や管理者の記録で確かめられることがあります。

依頼する前に、もう一度。

記載は確認日時点の情報です。改葬の手続きは遺骨が今ある市区町村の、料金と受付状況は依頼先の最新の案内で確認してください。お布施や離檀料の考え方は、寺によって違います。

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